【手術翌日】麻酔からの目覚め、ICUでの最初の朝

入院・手術日記

【④手術翌日 2025年9月の記録】

聞いていた通り、麻酔から目覚めるのは一瞬でした。
パッと目を開けた瞬間、そこは集中治療室(ICU)
全身が重く、何かに縛られているような感覚。実際、危険防止のために手足が固定されていました。

口からは気管に届く人工呼吸器が入っていて、息苦しさに思わず全身を動かします。
「起きたぞ!早く呼吸器を取ってくれ!」——必死で手足をバタバタさせて訴えました。

すぐに執刀医の先生の声が聞こえました。
「頑張りましたね。無事終わりましたよ。今は次の日の午前10時です。」

その瞬間、ようやく心臓手術が無事に終わったことを実感しました。
「先生、ありがとうございます…」と、かすかに声を絞り出しました。

長い眠りのあとに

麻酔からの目覚めはまるで一瞬。
眠りも覚めも、時間の感覚が完全に消えていました。
手術台に乗ってから、気づけばもう次の日の朝。
実際には約25時間眠っていたそうです。

手術時間はおよそ10時間
朝9時から始まり、終了は夜の8時半ごろだったとか。
そして、願っていた通り——「ロス手術」が成功しました。

体に通されたチューブたち

目覚めた時の体には、4本のドレーンチューブが胸から出ていて、体内の余分な液体を吸い上げていました。
首からも心臓へ向かう細いチューブ、両腕には点滴やセンサー。
意識が戻った直後は「これは夢なのか」と錯覚するほどの非日常的な光景です。

でも、確かに感じる胸の鼓動。
手術中、心臓は一度止まり人工心肺装置へ、そして再び動き始めました。
そのせいか、いつもより力強い鼓動が全身に響きます。
まるで「元気に動いているよ!」と心臓自身が教えてくれているようでした。

家族との再会、手の温もりに救われる

ICUでの面会は1日1回、わずか30分。
午後2時、妻と父がベッドのそばに現れました。
その瞬間、張り詰めていた心がふっと緩みます。

手を握られた時、涙が出そうになるほどの安心感。
人が人に触れることで分泌される「オキシトシン」というホルモンが、幸福感を高めると言われています。
まさにその通り。極限の体の負担を越えたあと、家族の手の温もりほど心強いものはありませんでした。

本人にとっては一瞬の出来事でも、待つ家族の10時間はどれほど長かったことでしょう。
どんな思いで過ごしていたのかを考えると、改めて胸が熱くなります。

面会を終え、家族は一旦地元へ帰りました。
再び静まり返ったICUに、自分ひとり。
機械の音と鼓動だけが夜を刻んでいました。

術後の痛みとの戦い

心臓手術の翌日は、何よりも胸の痛みとの闘いです。
胸骨を縦に割り、ワイヤーで固定されているため、少し動かすだけでもズキンと痛みます。
さらに、長時間の麻酔の影響で肺の動きも鈍く、呼吸が浅い。

深呼吸をしようとすると、胸骨の痛みで思わず息を止めてしまう。
「吸いたい、でも痛い。」
その繰り返しの中で、一日がゆっくりと過ぎていきました。

それでも、看護師さんたちはこまめに声をかけ、痛み止めの調整や体勢のサポートをしてくれました。
そのおかげで少しずつ落ち着きを取り戻します。

頭はまだぼんやり。焦点も合わず、言葉も出にくい。
ペンもスプーンも重たく感じるほど。
けれど——確かに「生きている」という実感だけは、全身に満ちていました。

痛みを感じながらも、命が動き出している。
それが、何よりの幸せでした。

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