【⑤手術後2日目 2025年9の記録】
術後2日目、まだICUのベッドの上です。
24時間以上の全身麻酔から覚めて一日が経ちますが、頭はまだ完全に働いていません。
まず感じたのは、とにかく喉の渇き。何度もナースコールを押しては氷水を運んできてもらいました。
氷水がこれほど美味しいものだと思ったのは人生で初めてです。
おしっこ管(尿道カテーテル)が入っているおかげで自由に排尿できるので、安心して何度も氷水をお願いしました。
胸の痛みは少し和らぎ、代わりに「頭のぼんやり」がひどい
術後2日目になると、早くもと胸骨の痛みは少しずつ和らいできました。あんなにざっくりと胸骨を切っているのに意外と痛みが引いていることに驚きです。「人間の回復力ってすごい」(もちろん痛み止めが効いているのもある)
とはいえ、まだ深呼吸すればズキンと響くし胸のあたりは常に重い。
それよりも強烈だったのが、
頭のぼーっとした感覚と、焦点が合わないこと。
文字を書こうとしても、ペンが重くて震える。
遠方の家族に代筆してもらえないため、必要な書類に自分でサインしましたが、まるで子どもの落書きのようなヘナヘナ文字になってしまいました。
言葉も出にくく、ICUでは一日に何度も「お名前と生年月日を教えてください」と聞かれますが、
頭では分かっていても、声帯まで指令が届かず声が出ない。
「ああ、まだこんなに弱っているんだな…」
そう実感した瞬間です。
そして食事開始。でも箸が重い
この日から食事が始まりました。
内容はお粥中心の術後食。
ただ……驚くほど食べる気がしません。
お粥を一口食べるだけで疲れてしまうし、箸が重くてうまく口に運べない。
「寝たきりの老人みたいだな・・・」
結局、補助食のようなバランスドリンクだけで食事を終えました。
焦らず少しずつやって行く時期です。
術後2日目の最大の敵は「眠れないこと」
この日、一番つらかったのは眠れないことでした。
肺がまだ深く膨らまず、酸素がうまく入っていないのか、眠りが浅く、5分で「ハッ、ハァ…!」と呼吸を求めて飛び起きる。
さらに厄介だったのが、まぶたを閉じると勝手に映像が流れ出すこと。
自分でも見覚えのない幾何学模様やアート作品のような絵画、映画のワンシーン、何でもない家族の姿、謎の人物、誰かの声・・・・・
まるでYouTubeショートが脳内で延々と自動再生されているよう。
これが一日中止まらないのです。
気づけば眠りに落ちる
→目を閉じれば映像が流れる→5分で飛び起きる
→すぐに目を閉じると眠る→また5分で目覚める
脳は活発な一方体が休んでいる「レム睡眠」の状態なのでしょうか。
この地獄のループが一日中です。
夕食後にもらった睡眠薬で数時間は眠れましたが、
夜中の2時ごろに目が覚め、それから再び5分ループの地獄。
「もう頭がおかしくなる…どうにかしてほしい」
そう思って追加の睡眠薬をお願いしてみましたが、「睡眠時間のバランスが崩れるためダメ」とのことでした。
時間が過ぎるのが遅いICU
ICUでは、背後に窓があるものの、体を自由に動かせないので外が見えません。
昼なのか夜なのかもぼんやりしたまま、半分夢の中のような状態で時が過ぎていきました。
術後の痛みよりも、この「眠れない苦しさ」と「脳内シアター」がつらかった。
でも、これも回復のプロセスの一部。
今振り返れば、貴重な体験だったのかもしれません。


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