【2025年1月の記録】
妻と共に半日旅行がてら、大阪府吹田市の国立循環器病研究センター(通称:国循)へ行きました。
「国循」は厚生労働省が所管する「国立高度専門医療研究センター」のひとつで、心臓や血管の病気を専門に扱う、日本の循環器医療の最前線ともいえる病院です。
建物のスケールも設備も圧倒的で、受付を済ませた瞬間に、
「いよいよここで診てもらうのか……」と、少し身が引き締まりました。
外来フロアには、年齢も症状もさまざまな患者さんが待っています。
この日、僕は紹介状を手に、午前中から午後にかけて約半日の検査を受けるのです。
6つの検査がスタート
今回の検査メニューは、採血、ABI(血圧測定)、心電図、レントゲン、CT、心エコーの6種類。
順番に一つずつこなしていきます。
① 採血
最初の採血はスムーズに終了。
採血室のスタッフの手際がよく、思わず「早っ」と声が出そうになるほどでした。
ほんの数分のことですが、「これからが本番だな」と心のスイッチが入ります。
② ABI(動脈硬化の検査)
ベッドに横になり、両腕と両足首に血圧計のカフを装着。
同時に血圧を測り、手足の血流のバランスから動脈硬化の度合いを調べる検査です。
ただ寝転んでいるだけなのに、機械が動き出すとなんとなく緊張します。
体の中の「見えない流れ」を可視化されているようで、少し不思議な気分でした。
③ 心電図
おなじみの検査ですが、心臓病を抱える身としてはやはり特別な意味があります。
モニターに映し出される波形を見ていると、まるで自分の鼓動が目の前で“言葉を発している”ような感覚になります。
「頼むから落ち着いて動いてくれよ」と、つい心の中で祈ってしまいました。
④ レントゲン
このあたりから少しずつ慣れてきて、緊張も和らいできます。
指示された通りに姿勢を取って、深呼吸して静止。
ほんの一瞬の撮影ですが、こうして見ると病院の中って、どの動作にも“意味”があるんだなと感じます。
⑤ CT検査(造影剤使用)
そしてこの日の山場がCT検査。
心臓の冠動脈の状態を詳しく見るために、ヨード造影剤を静脈に注入します。
検査の前に同意書を書いて、検査服に着替え、左手に点滴を挿入。
「では造影剤を入れますね」と声がかかると同時に、冷たい薬液が体内に入っていく感覚が広がりました。
次の瞬間、体の奥から“カーッ”と熱くなり、まるで内側から火照るような感覚。
体の節々からお尻のあたりまで、じわっと熱が広がっていきます。
「これが噂の感覚か…!」と思いながらも、少し笑いそうになる自分もいました。
数分後には検査も終わり、台から降りた瞬間、なんとも言えない安堵感が押し寄せます。
このために朝食抜きだったので、とにかく早く何か食べたかったです。
⑥ 心エコー(超音波検査)
最後は心臓の動きを超音波で見る検査。
部屋は薄暗く、静かで、技師さんの声だけが響きます。
「吸って〜」「吐いて〜」「止めて〜」の繰り返し。
いつも健康診断でも思うのですが、超音波検査って良くても悪くても長いです。
しかも「吸って」「吐いて」の感覚が途中から早くなり、まだ吸えてないのに吐かないといけない状況で苦しい・・・
酸素が足りなくて頭がボーッとする瞬間もありました。
けれど画面に映る自分の心臓が、絶え間なく動き続けているのを見ると、
「まだ頑張ってくれてるんだな」と、不思議と胸が熱くなりました。
※余談ですが、苦しいときは我慢せず「しんどい」と伝えることが大事ですね。
診断と今後の方針
検査を終えて、主治医の先生と面談。
診断は、地元のクリニックと同じく「大動脈弁閉鎖不全症」でした。
心臓の左心室から全身に血液を送る際、
その出口にある大動脈の根元が広がってしまい、弁がしっかり閉まらず血液が逆流してしまう状態です。
逆流した血液が左心室に戻ることで、心臓が余分に働き、次第に肥大していくという説明でした。
ただし、現時点ではすぐに手術をする段階ではなく、
「半年後に再検査をして進行の度合いを確認しましょう」とのことです。
年齢的にもまだ若く、治療の選択肢も多いという言葉に少し安心しました。
国循での診察結果に安心とこれからの病気に対する付き合い方にも心が引き締まる思いです。
帰り道の気持ち
地元での診察結果とほぼ同じ内容で、特別な異常がなかったことに夫婦で胸を撫で下ろしました。
帰りの車の中で、久しぶりにホッとした空気が流れます。
「まだ焦らなくていい」
その一言で、肩の力が少し抜けました。
妻は、心臓が元気なうちに早く手術してほしいとの思いもあったようですが。
検査というのは、どれも「自分を知るための過程」なんだと思います。
不安を煽るものではなく、これからを安心して生きるための準備。
ひとつひとつの数字に一喜一憂しながらも、
“病気と付き合う”という現実を、少しずつ受け入れられるようになりました。
初めての国循受診は、「怖い」から「わかる」へと気持ちが変わった日でした。
ちなみに、今回の診察料は3割負担で約18,000円ほどでした。
 
  
  
  
  

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