手術前までの心を落ち着ける方法

手術前の準備

手術を前にしても、不思議と不安は少なかったんです。

手術が近づくにつれ、「怖くて眠れない」「現実感がない」という話をよく聞きます。
でも、僕の場合は少し違っていました。
もちろん、「もしものことがあったら…」と頭をよぎる瞬間はありましたが、思っていたほど不安にはならなかったんです。

若い頃の僕は緊張に弱く、学校での発表や部活の大会前、試験の前など、数日前から憂鬱で仕方がありませんでした。
けれど大人になるにつれて、「考えても仕方がないことは考えない」クセがついたように思います。
忙しさや経験の積み重ねの中で、気づけば少しずつ“心の距離の取り方”を覚えていったのかもしれません。緊張するなら前日にしよう、それまではもったいないから普段通り過ごそう!てな具合に。

今回の心臓手術(ロス手術)に際しても、どこか他人事のように受け止めていました。
とても難しい手術らしいですが「頑張るのは医者の先生で、自分は寝ているだけ。起きたら終わっている」
そう思うと、不思議と気持ちが軽くなるんです。
神社でお守りを買うなら、先生に渡した方がいいんじゃないか──そんな冗談を言えるくらいの余裕もありました。

余談ですが、我が子が小さい頃に2度、手術を受けたことがあります。
そのときの不安は、今回とは比べものにならないほど大きなものでした。
子どもの体がどうなるのか、考えずにはいられない。寝ても覚めても心配で仕方がありませんでした。
けれど、自分の体のことになると不思議と冷静でいられる。
「子どものことに比べれば、自分のことなんてどうにでもなる」
そんな楽観さも、今回の心の支えになった気がします。

「考えすぎない」ことも、ひとつの選択

手術という現実を、すべて理解して受け止めようとすると、どうしても怖くなります。
だから僕は、あえて考えすぎないようにしました。

手術前の不安をゼロにすることはできません。
でも、「怖い」と感じたときには、「それでもやるしかない」「信じるしかない」と自分に言い聞かせました。
信じる対象を「自分」ではなく、「医師」や「医療チーム」に委ねることで、心の負担が少し軽くなったように思います。

支えになったのは「信頼」と「日常」

手術前の数日間も、特別なことはせず、できるだけ普段通りに過ごしました。
テレビを見て笑ったり、家族と他愛のない話をしたり。
そんな「いつもの日常」が、心を落ち着けてくれました。

仕事も長期で休むことになるため、上司からは「仕事のことは仲間に任せて、ゆっくり治療して」と温かい言葉をもらいました。
発生しそうな業務はすべて課員に引き継ぎ、完全に“休暇モード”に入ります。
1か月も仕事を離れるのは初めてでしたが、しっかりと支えてくれる仲間がいて、心から安心して病院に向かうことができました。

「その先」に楽しみを描いておく

もうひとつ意識していたのが、「手術が終わったら何をしたいか」を考えておくことです。
僕の場合、退院後はロードバイクを始めたいと思っています。
心臓を鍛え、筋力を取り戻すリハビリを兼ねた趣味です。

どんなバイクを買うか、どのコースを走るかを考えながら、YouTubeやサブスクで「弱虫ペダル」を観て気分を上げる──
そんな小さな準備が、手術を「終わり」ではなく「新しいスタート」として感じさせてくれました。

未来に“楽しみ”を置いておくことで、心のバランスはずっと保ちやすくなります。
そして、入院準備を進める中で「これから少しずつ回復していく自分」を想像することも、心を落ち着ける大切な時間になりました。

不安があるのは自然なこと

手術を前にして、不安を感じない人はいません。
僕も例外ではありませんでした。
ただ、その不安と上手に距離を取ることはできます。

  • 都合よく「人ごと」と考える
  • 考えすぎない
  • 信頼できる人や医師に委ねる
  • いつも通りの生活を続ける
  • 少し先の楽しみを思い浮かべる

この5つを意識するだけで、気持ちはずっと穏やかでいられました。
そして今、あの時の自分に言えるのは──
「大丈夫、ちゃんと乗り越えられる」
その一言に尽きます。

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